辨 |
野にさく、いわゆる野菊一般について、野菊を見よ。 シオン属 Aster(紫菀 zĭwăn 屬)の植物については、シオン属を見よ。 |
訓 |
ハギは、ヨメナの古名。
ヨメナは、嫩葉を食用にして美味、かつ花が美しいことから、という。 |
深江輔仁『本草和名』(ca.918)に、草蒿及び薺蒿一名莪蒿は「和名於波岐」と。
源順『倭名類聚抄』(ca.934)薺蒿に、「和名於八木」と。 |
説 |
オオユウガギク K.incisa(2n=72,朝鮮から九州に入る)とコヨメナ K.indica(2n=54,南方から日本に入る)が交雑して、九州でヨメナ K.yomena(2n=63)ができたという。 |
本州(中部以西)・四国・九州に分布。山野の湿った場所や道端に、極めて普通に生える。
中国の上海にあるものは、日本からの帰化品という。 |
誌 |
若芽を蔬菜とする。
本山荻舟『飲食事典』に、「灰汁を加えた熱湯で茹で、炒胡麻を添えた浸し物が香味第一である。また茹でて堅く搾り上げたのを微塵に刻み食塩をふり混ぜて、淡塩味に炊き上げた飯に混じた「嫁菜飯」まもた(ママ)菜飯中での香味である」と。 |
『万葉集』に、
妻もあらば採みてたげまし佐美の山野の上のうはぎ過ぎにけらずや
(2/221,柿本人麻呂)
春日野に煙立つ見ゆをとめらし春野のうはぎ採みて煮らしも
(10/1879,読人知らず)
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